| ◆斜鏡セル 斜鏡を接着するタイプ 最近は斜鏡をセルに貼り付ける例が多く、かなり大口径のものでも貼り付けられているのを見かけます。工作が大変簡単になるうえに、中央遮蔽率の低減にもつながるので、小中口径ではよく採用される方法です。
貼り付ける前には、必ず接着面をシンナーやベンジンで脱脂します。 斜鏡の裏側にセルを置く位置の印を付け、パイプの場合は外周にポツポツと、平面の場合は3カ所くらいに接着剤を付けて接着します。裏返して置いた斜鏡にセルを載せるようにして接着するとずれにくくて良いです このときぴったりと隙間なく付けてしまうのではなく、セルから斜鏡が少し浮いているような状態にして、接着剤の弾力性が活かせるようにします。接着する時、数カ所に厚さ0.5mm〜1mmくらいのスペーサーを挟み、硬化後に抜き取ります。 詳しくはこちらのページを参考にしてください。 外筒の爪で押さえるタイプ オーソドックスなタイプで、45度に切断した内筒に、爪の付いた外筒をかぶせます。斜鏡短径とほぼ同じ径の内筒が必要になること、外筒の製作が意外と難しいことがネックです。 まず内筒を作ります。短径とほぼ同じ直径のパイプを45度に切断し、中心にネジ穴を付けた底板を取り付けます。この辺の工作は接着するタイプのセルと同じです。もちろんパイプでなくてもかまいません。 外筒の製作 1:適当な薄肉パイプで作る 内径が内筒の外径と同じか大きめの薄肉パイプを探します。材質は真鍮か鉄がよいと思います。径が大きい場合は、縦に切断して径を調整し、ハンダ代を残して余分なところをカットし、ハンダ付けします。 爪の部分を考慮してやや長めに45度でカットし、角度をチェックしながら爪の部分を残して、まわりをヤスリで削り込みます。最後に爪を折り込んで完成。 2:展開図を作って丸める 材料は真鍮の0.5mm位の薄板がよいです。そのままではちょっと硬いので、ガスレンジなどで艶がなくなるくらいまで炙って焼きナマしておきます。 画用紙を内筒に巻き付けて45度のケガキ線を入れ、はさみで切り抜いて型紙を作ります。これにハンダ代と爪の部分を付け足して真鍮板を切り抜きます。接合は手前側の長さが短い方で行い、爪は先端側に2カ所付けます。 万力に内筒と同じ径のパイプ、または棒をくわえ、切り抜いた真鍮板を押し当て、指でしごくようにして丸めて行きます。先端部分は木の板などでしごいた方がよいかもしれません。 だいたいきれいに丸まったら、針金を巻いて借り止めし、接合面を軽くハンマーでたたいて形を整えてからハンダ付けします。先にハンダ代に薄くハンダを塗りつけておくと楽です。 最後に爪を折り込んで完成。
爪で押さえるタイプ 大口径用になると短径が100mmを越えたりしますので、貼り付けではいささか不安な面もあります。そういう場合は爪で押さえる方が確実です。斜鏡と金属が触れる部分には薄いビニール(ゴムはダメ)を貼ると良いです。斜鏡は下向きで使われるので、裏側の支えはそれほど気にする必要はありませんが、薄いフェルトやコルクを挟むと良いと思います。 ※ゴムはガスがでてメッキを曇らすのでよくありません。 なお、あまり爪が厚かったり、ネジの頭がでていたりすると、星像に影響がでることがありますので、1mmくらいの厚さに押さえておきましょう。
組立その他 斜鏡セルの構造によっては、光軸修正ネジの締め過ぎで斜鏡が変形してしまうことがありますので注意して下さい。なお、光軸の修正方法についてはこちらを参考にして下さい。 斜鏡の鏡周が見えてしまうタイプのセルの場合は、組み上げてから鏡周に艶消しの黒を塗ります。下手にマスキングするとメッキを痛めたり、汚してしまったりしますので、片手でセルを持ち、細目の筆で慎重に鏡面ギリギリまで塗ります。面取り部分を境界にすると良いでしょう。あまり筆にたくさん塗料を付けないようにするのがコツです。何か別の物で少し練習してから挑戦した方が確実かもしれません。 万一はみ出したときのことを考え、ラッカーなどでなく墨(墨汁)を使うという人もいます。いずれにしろコントラストの向上に大きな影響を与える部分ですので、しっかりやっておきましょう。 |