スパイダーの数は何本がいいか議論の分かれるところですが、私は総合的に見て4本が優れていると思います。もちろんない方が良いので、本当は0本が一番優れていますが(^^;。スパイダーの本数の検証結果はスパイダーの影響を参照して下さい。 スパイダーに求められることは、 1)斜鏡がなるべく鏡筒の中心に置かれること。 2)光の回折現象の影響を少なくするために、厚さはなるべく薄いこと。 3)たやすく光軸が狂わないこと。 4)斜鏡が振動しないこと。 こんなところでしょうか・・・ 設計と製作 厚さはなるべく薄い方がよいといっても、現実的には0.4〜0.5mm位の物が加工もしやすくて良いでしょう。15Cm以下の口径でしたらもう少し薄いものでも大丈夫です。強度を稼ぐために幅を広くして、飛行機の翼のような形に作るのが一般的で、俗にベーンタイプと呼ばれています。 斜鏡のオフセット 単純に主鏡光軸と斜鏡の中心を一致させますと、斜鏡の余裕が少ない場合、長径の先端側がケラれてしまうことがあります。このような場合は斜鏡を接眼部の向こう側へオフセットさせます。詳しくは自作用データーのページを参照して下さい。 オフセットさせる方法は、 スパイダー側で行う場合:中心ボス(光軸修正部)のネジ穴全体をずらす。 斜鏡セル側で行う場合:引きネジの位置をずらす。 どちらの場合も中心ボス(光軸修正部)は、斜鏡短径よりも半径でオフセット分小さくなければなりません。仮にオフセット量を5mmとしますと、直径で1Cm小さくないと光路に中心ボスがはみ出してしまいます。 材料 一般的にホームセンターなどで手に入りやすい物を中心に説明します。 鉄:ブリキやトタン板で良い物が作れます。ただし錆びやすいので、塗装などの防錆処理はしっかり行う必要があります。 ステンレス:ホームセンターなどで手に入るものでは、固さもほどほどで、剛性も高い上に錆びにくいので、スパイダーの材料としては一番優れていると思います。 真鍮:比重が重いわりに剛性が低く、柔らかいために、薄く作ろうとすると振動の原因になります。ハンダ付けなどの加工がしやすいのでよく使われますが、20Cm鏡以上では注意が必要です。 アルミ:軽くて加工もしやすいのですが、テンションをかける加減上、薄いものではちょっと強度に不安があります。 切断 スパイダーはよく切れる金切りばさみで切り出します。切り口が小さく曲がりやすいので注意して下さい。もし曲がってしまったときは、定盤(または平らな硬いところ)に置いて、堅い木の板をあてがい、軽くハンマーでたたいてなおします。 接合 接合はリベットやネジ止めにする方がよいです。薄板の場合、ロウ付けだと熱で変形してゆがんでしまうことがあります。また、ハンダ付けは以外と弱く、付けた当初は良くても、あとで時間が経つとポロッと取れてしまったりするので注意して下さい。 穴あけ 穴あけはボール盤などを使いますが、薄板の穴あけは大変危険ですので注意して下さい。木の板を下に敷き、その上に材料を載せて一緒に穴をあけると比較的安全です。 くれぐれも手袋などをしたままボール盤(回転物)を扱わないようにして下さい。大変危険です。 鏡筒取り付け部 スパイダーを歪ませないために、僅かに首を振るように作ります。私はよく、電子部品取り付け用の雌ネジ付き真鍮スペーサーにスリ割を入れて使っています。
斜鏡セル取り付け部(光軸修正部) 色々な形状が考えられますが、要は中心に引きネジ、周囲3カ所に押しネジが付いていればよいわけです。この押しネジは必ずしも正確に120度間隔で付いている必要はなく、スパイダーの干渉を避けて僅かにずらす程度でしたら問題ありません。 写真中:コップのような形状をしています。この形の特徴は、光軸修正ネジ類が光っていても問題ないところです。 写真右:フランジ形をしています。比較的軽量に作れますので、大口径に向いてます。 これらをアルミから削りだしても良いのですが、身の回りの廃品やジャンクパーツを探すと適当なものが見つかったりしますので、普段から気にしておくと良いでしょう。 なお、それぞれのスパイダーが隣のスパイダーと直交さえしていれば、向かい合わせのスパイダーと多少ずれて互い違いになっても、問題ありません。 光軸修正ネジ 光軸修正ネジ径は、短径40mm〜100mmの斜鏡で、引きネジが6〜8mm、押しネジが4〜5mmくらいで良いと思います。 引きネジのバカ穴(光軸修正部側)は、あまりガタがあると中心がずれてしまいますので、公称ネジ径と同径(6mmネジなら6mm)の穴にします。
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