光軸の調整方法
ニュートン反射の光軸調整は難しいと言われていますが、きちんと手順を追っていけば、それほど難しいものではありません。光軸が大きく狂っていると、ちゃんとした星像が見られず、宝の持ち腐れになってしまいます。ぜひとも、自分できちんと光軸が合わせられるように練習してください。

なお、ここでは十字線の入った光軸修正アイピースを使った場合を想定しています。十字線は1本を主鏡の光軸に合わせて、鏡筒に対して水平、垂直になるようにしておきます。
※ドローチューブは少し(1〜2Cm)引き出しておきます。光軸修正アイピースは強く締め付けず、ガタがなく手で廻るくらいにしてください。

Ninjaにはあらかじめ主鏡と斜鏡にマークを打ってあります。このマークを基準に光軸を調整します。

※要点以外は省略した画像にしてあります。

※文中では、引きネジを緩めて押しネジを締めることを「押す」、押しネジを緩めて引きネジを締めることを「引く」と表現する事があります。
 

(1)斜鏡の調整
最初は斜鏡の調整から始めます。灰色の十字線は光軸修正アイピースの十字線で、小さい黒丸は斜鏡のセンターマークです。目のピントを思い切り近めにして見るのがコツです。
なお、十字線にはピントを合わせず、ボケた状態で調整します。

その1:斜鏡のセンター出し
斜鏡のセンターマークと、光軸修正アイピースの十字線の中心を一致させます。斜鏡自体は平面鏡で、光軸がありませんから、それほどきっちり合わせる必要はありませんが、これをおろそかにするようだと、後々の調整まで響いてしまいますので、出来るだけきっちり合わせてください。
※通常の使用では斜鏡センターが狂うことはほとんどありませんので、問題がないようでしたらその2に進んでください。
斜鏡の光軸修正部を筒先から見た図です。向かって右側が接眼筒側になります。(左目仕様はすべて逆になります)

中央のネジが引きネジで、まわりのA、B、C、の3本のネジが押しネジです。
斜鏡が主鏡側に寄っています。押しネジを3本とも均一に同じ回転数緩め、引きネジを締めて斜鏡を筒先側へ引きます。押しネジ1回転で約0.7mm移動します。

なお、左回りが「緩める」で、右回りが「締める」です。
「の」の字を書く方向が「締める」と覚えておくと良いでしょう。
斜鏡が筒先側に寄っています。引きネジを緩め、押しネジを3本とも均一に同じ回転数締めて、斜鏡を主鏡側へ押します。
斜鏡が上側にずれています。Cを緩め、Aを締めます。

斜鏡マークが反対に十字線の下側にあるときは、Aを緩め、Cを締めます。

ヒント:Ninjaの場合は接眼部鏡筒を分離し、単独で斜鏡のセンタリングを行った方が余計な物が映らなくてやりやすいです。出来れば、接眼部鏡筒の後端(主鏡側)の開口部に、細いヒモなどを十字に張って、だいたい中心がわかるようにしておくと、次の作業が楽になります。


その2:斜鏡の傾き調整
主鏡のセンターマークと光軸修正アイピースの十字線の中心を一致させます。意識して目のピントを前後させ、主鏡マークと斜鏡マークを見るようにします。
光軸修正アイピースの横線(主鏡の光軸ライン)から上下に外れているときは、引きネジを少し緩め、下の図のように横線に重なるように、斜鏡セルを手で持って回転させます。
次に斜鏡の傾きを調整します。

図の場合、Bを緩め、AとCを締めます。
左側にずれているときは、AとCを緩め、Bを締めます。

斜鏡を回転させてしまわないように、少量ずつ修正してください。なお、修正量が大きいと、斜鏡のセンターマークがずれてしまうことがありますが、その時は、もう一度斜鏡のセンターマークを合わせ直してください。
斜鏡の向きがぴったり主鏡に向いた状態です。

実際には斜鏡セルなども映っています。マークがわかりにくいときは、鏡筒先端から、明るい懐中電灯などで照らすと良いです。

最後に斜鏡セルを手で押さえながら引きネジを増締めします。
ヒント:主鏡を覆うような白紙を用意し、中心に直径15mm位の穴をあけます。この穴から主鏡のセンターマークがのぞくようにして、白紙を主鏡にかぶせ、セロテープでセルに固定します。こうすると他の物が映りませんから、修正が大変楽になります。

主鏡面は、あらかじめブロアーでホコリを飛ばしておき、くれぐれも主鏡表面に手を触れないようにご注意ください。


(2)主鏡の調整
光軸修正ネジは頭が出っ張っている方が押しネジ、引っ込んでいる方が引きネジです。
なおNinja−500の光軸修正ネジは押し引き両用です。固定ナットを緩めて調整してください。
  
鏡筒を後ろから見た図。D,E、F、が光軸修正ネジです
主鏡に映る光軸修正アイピースの中心穴が、十字線の縦線に重なるように、まず横方向の修正をします。

図の場合はEを押します。(またはFを引きます)
左側にずれているときはFを押します。(またはEを引きます)

図の左手が接眼側になります。「余白の大きい側を押す」と覚えると良いでしょう。(図では左側、つまり接眼側)
どちら側かわからなくなったら、筒先に手をかざしてみると良いです。
次は縦方向の調整をします。

図の場合はDを引きます。(またはE、F、を押します)
下側にずれているときはDを押します。(またはE、F、を引きます)
完全に光軸が合った状態。実際には右の写真のように見えます。
※光軸が合ってきたら、少し光軸修正アイピースから目を離して覗くとわかりやすいです。作業中も、時々離れた状態から覗いて確認してみてください。


レーザーコリメーターを使用する場合の注意事項について
レーザーコリメーターを使用した光軸修正によって、かえって光軸を狂わせてしまっている例を多く見かけますのでご注意ください。コリメーターは強く締め付けず、ガタがなく手で廻るくらいにして、時々接眼筒に押しつけながら回転させて確認してください。

斜鏡はBのネジと斜鏡の回転だけで調整し、A、Cのネジには触れないでください。
また、調整前後に必ず光軸修正アイピースで斜鏡のセンタリングを確認してください。