◆アポダイジングマスク |
私が初めてアポダイジングマスクなるものを見たのは1982年のSky&Telescope誌でした。主鏡口径の50%、70%、90%の穴をあけたウィンドスクリーン(網戸のこと?)を30度ずつずらして重ねるとあります。 日本でも「淫堕落恥部明日徒労蚤」とか言う雑誌で紹介されたので、ご存じの方も多いと思います。 オーナーもなんか怪しげでしょ?(^^;。これといった惑星用の望遠鏡を持っていなかったこともあって、なかなか実験できずに今に至ってしまいましたが、今回、良い望遠鏡を借りることが出来ましたので、早速実験してみました。 |
◆製作 まず最初はS&T誌の記事の通りに、網戸用の網に内径50mm、70mm、90mmの穴をあけたものを各1枚、計3枚作り、それを30度ずつずらして重ねました。ずれないように外周4カ所を両面テープで張り合わせてあります。 それをボール紙で作った枠に入れて完成です。 実験に使用した望遠鏡は、スパイダーの影響の実験と同じ10Cm無遮蔽ニュートンです。これは10Cmとは思えないなかなかすばらしい惑星像を見せてくれます。 |
|
◆インプレッション 早速木星に向けてみました。周りにはスペクトル状の光条が幾本も見えます。真ん中に木星の視直径の3倍くらいのぽっかりと空いた黒い穴があり、そこに木星が浮かんでいる感じ。しかし、さすがに10Cmでは光量が落ちすぎてしまいます。分解能も落ちている感じで良いところは何一つありません(;;)。 あまり時間がなかったので、とりあえず内径70mmの物1枚にして再実験。 をを、すばらしいコントラストの木星がそこに(@@; 木星の周りに光のにじみもなく、ノーマルではやや白けていた木星の模様が、濃くくっきりと見えます。まるでマクストフニュートンを見ているような惑星面のコントラストの高さで、とても美しい木星像でした。 |
原理的には、網で外周の光量を落とすことで、開口部によって起こる回折現象の影響を少なくしているのではないかと思います。また、絞りの効果のように、迷光を遮ってコントラストが向上する効果もあると思います。 あとは、比較的エラーの多い鏡周を減光してしまうことで、結果的に鏡面精度がアップしている可能性も考えられますね。 残念ながら時間切れで今回はここまででしたが、もっと色々な網を使って再実験してみたいと思っています。ちょっと高いけど、スピーカーに使う細かい網なんか黒くてよさげですね。 お金も掛かりませんし、製作も簡単ですから、特に中口径のニュートンをお持ちの方は一度試してみることをお勧めします。 |