15Cm反射双眼望遠鏡の製作

最近、15Cmクラスのニュートン反射が非常に安く手にはいるようになりました。私も格安で二本入手することが出来ましたので、さっそく双眼望遠鏡を製作してみました。
鏡筒 ●鏡筒
ノーマルの鉄製鏡筒をそのままFRPで型取りして作りました。贅沢にもカーボンファイバーを使ってます。といっても表層だけですが(^^;。

構成はカーボンクロス+#450ガラスマット1p+#230ガラスクロス1pで、樹脂には不飽和ポリエステルを使用しています。エポキシが使えると良かったんですが、つい手元にある材料で済ましてしまいました(^^;。

重量はノーマル鉄製1.8Kgに対してFRP製0.8Kgで、一本あたり約1Kgの減量に成功しました。もう少し軽量化できそうだったのですが、望遠鏡の性格上、手荒に扱うこともあろうかということで、若干丈夫に作ってあります。
ブリッジ ブリッジ
左右の鏡筒を繋ぐブリッジもFRPで作りました。3カ所で左右の鏡筒を連結します。

スパイダー ●斜鏡まわり
ノーマルは4mm丸棒の3本スパイダーで、斜鏡短径が50mmもあります。○貧なのでとりあえず斜鏡はそのまま使うとして(^^;、スパイダーは0.4mm厚のステンレス板で4本スパイダーに作り替えました。

ステンレス板にけがき針でけがいて、金切りばさみで切断し、穴開けと折り曲げ加工をしました。右の写真は塗装直前で、塗料が喰い付きやすいように全体に#600のヤスリをかけてあります。 
スパイダー
取り付け部 先端部は電子基板用の六角スペーサーを利用し、鋸歯でスリ割を入れて銅の釘でかしめてあります。ここは若干首を振るようになっています。

とにかくこれを鏡筒2本分、合計8本作らなきゃならないので結構大変でした(^^;。

中心のセル受け金具はノーマルの物を利用し、4本スパイダー用に穴を開け直してあります。
鏡筒取り付け部
斜鏡セル ノーマルの斜鏡セルはプラスチック製で厚さが2mmもあるので、斜鏡の実質短径(中央遮蔽)が54mmほどになって面白くないのと、全長が長いので、薄いスパイダーを使用したときに振動に弱くなることが考えられましたので、作り直すことにしました。

45mmのアルミパイプ(ローラーコンベアーのローラー)を45度に切断し、FRPで作った裏板を接着してあります。斜鏡は光学接着用のシリコンで貼り付けました。斜鏡の中心位置は主鏡光軸から3.5mmオフセットしてあります。

光軸修正ネジは引きネジ6mm1本とまわりに押しネジ4mm3本の一般的な物です。斜鏡セルと押しネジの間に1mm厚のアルミ板で作った円盤を挟み込んであります。こうすると光軸修正の時、斜鏡の回転がし易くなり、とても楽です。
斜鏡セル
スパイダーとセル
スパイダーと斜鏡セル

主鏡セル ●主鏡セル
コアマットという軽量な部材をカーボンファイバーでサンドイッチして作ったドーナツ板をバックプレートにして、3本の支柱を立てただけの簡単な構造です。支柱は電子基板用のプラスチックスペーサーを利用しました。先端にはプラスチックの◎形板(ミニ四駆のローラー)をネジ止めして主鏡を押さえています。ここにゴムを使うと、ゴムから発生するガスによってアルミメッキが曇ってしまいますので、プラスチック製のパーツを使うのがよいと思います。
主鏡セル
光軸修正部 光軸修正ネジは3本の引きネジと押しスプリングで構成されています。このステンレススプリングは、ちょっと長めな物を買ってきて適当な長さにカットし、末端をペンチで曲げて平らなところに垂直に立つように処理した物です。

15Cmの1/8厚の主鏡ですので、この構造でも何とかなるみたいです(^^;。
光軸修正部
主鏡をセット 主鏡はドーナツ板の中心に来るようにセットしますが、支柱との間に僅かに隙間を作り、圧迫しないようにします。主鏡を押さえる◎板も同様に取り付けますが、双眼の場合、左右の光軸ズレが起こると致命的なので、出来るだけガタの無いように取り付ける必要があります。

なお、右側の主鏡セルのみに上下左右方向の微調整ネジを付けてあります。微妙な光軸ズレはここで修正しようという魂胆です(^^;。
ミラーの中心には直径8mmの○印を付けてあります。
主鏡をセットしたところ

カットした接眼部 ●接眼部
正立像が欲しかったので、笠井トレーディングの90度正立プリズム(31.7mm)を使用しました。アイピースはやはり笠トレ扱いのWV25です。ホントは2インチサイズアイピースを使いたかったのですが、プリズムの問題で断念しました。

価格の問題ではありません。゜゜(o )☆\(--;)バキ
 
カットした接眼部
接眼アダプタ 筒外焦点の加減上、ノーマルの接眼部では長すぎるので、約30mmカットし、それに合わせてドローチューブもカットしました。ラックの替わりにアルミの角棒を取り付けてドローチューブが回転しないようにし、接眼アダプターはひっくり返してドローチューブの中に入り込むように加工しました。
これに90度正立プリズムを取り付け、自作アダプターを介してボーグのヘリコイドSを取り付けます。ピント調整はこれで行います。
加工した接眼アダプタ
完成した接眼部 目幅調整には小型のステンレス製ターンバックルを利用しました。ドローチューブストッパーを緩めてから、ターンバックルを回転させて目幅調整をします。ターンバックルには廻しやすいようにアルミのパイプをかぶせ、さらにその上にゴムパイプをかぶせました。ただ、左右均等に調整できるわけではないので、大きく調整するときは注意した方がよさげです。
完成した接眼部
おでこストッパー 接眼レンズの上側中央に、スーパービノのマネをして、おでこのところに当てるストッパーを作りました。フランジにねじ込んでありますので、廻して前後位置を調整できます。これがあるとアイピースと目の位置関係が固定できて、とても覗きやすくなります。

これは10mmのアルミ丸棒にネジを切り、反対側にプラスチックのつまみを付け、その前面(おでこに当たるところ)にスポンジゴムを貼り付けて作りました。
おでこストッパー(^^;

仮組中 ●組立、調整
一度借り組みして確認後、塗装して組み立てました。組立自体は問題ありませんでしたが、調整には結構手間取りました。まず、左右の鏡筒の光軸あわせですが、正確を期すためにプリズムなどを組み込んだ正規の位置で行ったため、結構つらい体勢が続き、すっかり腰が・・・(^^;。

とにかく組み立てて、それぞれの鏡筒の光軸も調整し、風景を覗いてみると、左右の鏡筒で光軸がずれています。ブリッジの取り付けネジをやや緩め、左右の鏡筒をエイヤッと捻って調整します(^^;。ところがなんか変です。
仮組中です
主鏡セル部 単眼鏡ではそれほど問題にならない主鏡のガタが、双眼鏡では大きな問題になるということにやっと気が付いて、主鏡をセットし直しました。鏡を圧迫しないように出来るだけクリアランスを少なくしたのですが、気温によっては圧迫が起こる可能性もあるので注意した方がいいかも。

今度は思ったように調整が進むようになり、捻ってある程度まで調整しておいてから、右側主鏡の上下左右位置を微調整して、実用上問題のないところまで追い込めました。そのたびに光軸を調整しなきゃならないのでとても面倒でしたが。明るいときに遠方の景色でだいたい合わせ、夜に星像で微調整しました。幸い左右のズレはほとんどなく、ほぼ上下のみの調整だったので助かりました。
右側主鏡セル。3カ所外側から押して主鏡位置を調整できるようにしました。

●インプレッション
10度くらいまでなら立っていても使えますが、それ以上の角度は背もたれのあるイスに座らないときついです。普段上向いていないせいもあってクビがつらい・・・・。倍率も30倍くらいあるので細かな揺れは気になります。16×70の双眼鏡を手持ちで使ったくらいかな。何か支えになる物がないと苦しいです。

まだ良い空に出会っていないので何とも言えませんが、思っていたより見え方はよいです。もともと射手座付近とか、夕暮れの大彗星をターゲットに考えて作ったのですが、少しクビを鍛えないといけないようです(^^;。

その後何度か試してみましたが、覗き方になれてきたせいか、かなりの高度(しし座くらい)まで何とか覗けるようになりました。やっぱりちょっとコツがいりそうです。
前から 後ろから
前から見たところ 後ろから見たところ
こうやって・・・ 覗きます
こんな感じで覗きます ク、クビがつらい・・・

●スペック
主鏡口径 : 150mm
焦点距離 : 750mm(F5)
斜鏡短径 :  50mm
筒外焦点 : 132mm
全体重量 : 約5.6Kg